今、日本で最も勢いがあるシューズブランド「KIDS LOVE GAITE」に迫る
- ikuru15129
- 2024年5月10日
- 読了時間: 7分
更新日:2024年5月11日
イギリスのトラディションを独自の目線で描き出すシューズブランド「KIDS LOVE GAITE」
。キャッチーな名前、クラフト感を醸し出す正確無比さを武器に日本で活動を続けて16年。同ブランドデザイナー山本真太郎の引き出しには、アンチや毒っぽさといった要素も綺麗に整理され、氏が加えるエッセンスは時に我々の想像を愛撫するかのようなアイロニーを演出する。コムデギャルソンを筆頭に、名だたるブランドからのラブコールがやまないKIDS LOVE GAITEとは一体、何者なのだろうか。
"イギリス"や"アンチ"をキーワードに
ーまず初めに、ブランド名”KIDS LOVE GAITE”に込められた意味を教えてください。
この名前は、あるタトゥーアーティストの方から名付けました。僕は90年代をイギリスで過ごし、彼とはその時に出会い、とてもお世話になりました。たくさんの影響も受けていましたが、ブランドを立ち上げるちょうどその年に亡くなってしまいました。そんな経緯もあり、彼のペンネームである”KIDS LOVE INK”をトリビュートする形で名付けました。”KIDS LOVE”の部分と、歩き方や行進を表すスラング用語である”GAITE”を組み合わせて、”KIDS LOVE GAITE”です。
ーKIDS LOVE GAITEではどのようなコンセプトを大きく掲げているのでしょうか?
靴は器具種であるといった前提の元、そこにどう存在感を出すか、どうアイデンティティを出すかといったことを意識していますし、コンセプトの一つでもあります。靴は洋服とは少し違いますし、幅も狭い中で、”イギリス”や”アンチ”といったキーワードも根幹にはあるかもしれないです。
ーブランドとしては定番とコンセプチュアルラインの2つに加え、他ブランドとのコラボレーションも重要な軸であると思います。コムデギャルソンやソロイストなど、どのような経緯でコラボが実現しているのでしょうか?
まずインラインに関しては、ここ16年間ほぼ変わらないスタイルで継続しています。僕自身のベースには常にファッションがありましたし、そんな目線の中で気になるブランドも多くありました。僕が見ていると相手のブランドも認知してくださることが多く、この頃はコムデギャルソンを皮切りに、コラボレーションの幅が広がった感覚があります。川久保さんとは13年ほど前に知り合い、当時オープンしたトレーディングミュージアムで僕の靴をピックして頂きました。24SSのタイミングで久しぶりに連絡があって、靴の製作を依頼していただきました。ソロイストに関しては、ブランドが始まってから何度か展示会にお邪魔していました。宮下さんとは元々の知り合いで、プライベートでの付き合いもあり自然とコラボに繋がりました。
ーそのような取り組みを経て、先ほどの”アンチ”のキーワードや、”ギャップ感”、”攻めたデザイン”がさらに飛躍しているように見受けられます。他のブランドと混ざり合うコラボレーションにおいて、意識されていることを教えてください。
どうして僕を選んでくれたのか、ここに向き合うことがスタートになります。それには相手の考え方やコレクション、人柄などにも向き合う必要があります。相手が作りたいものを僕のフィルターを通して表現するため、相手をあらゆる角度から汲み取ることは非常に大切にしています。特に川久保さんからは具体的なことよりも内にある感情や考え方を伝えられることが多いので、その意識が活きてきます。
(THE VAN)24SSのコムデギャルソンとのシューズは衝撃的でした。
このシューズに関しても、奇想天外な見た目もありつつ、靴として成立するものといった漠然とした提案から始まりました。ファッションとして成り立つことも頭に入れ、それでも服のイメージは伝えられないので、川久保さんの言葉や表情などを汲み取りつつ、絵型に写していきました。
あの時間がなければ今の自分はない