2015年よりスタートした日本のファションブランド「SOSHIOTUKI」が25SSコレクションを発表。デザイナーの大月は、「24AWは、同ブランドのコンセプト“日本人の精神性とテーラーのテクニックによって作られるダンディズムを提案”の翻訳機として『和』を用いたが、それが道具としてではなく、コアになってしまった」と前シーズン振り返り、「25SSは、初志に立ち返り”和”に止まらない日本人の精神性を表現することに徹した」と語っている。
<FOR OLD MEN>と記された今回のコレクションは、1980 年代からの日本のバブル経済期の男性に着目し、”MADE IN ITALY “のタグがついていれば飛ぶように服が売れた時代の違和感を表現している。ジャケットはゴージライン、胸ポケット、ウエストライン、袖口のボタン位置までを低く設定し、男性的な威厳を排除。張りぼてのイタリアを表現するために、表地には芯地を用いておらず、内ポケットに芯地を貼り付け胸の硬さを出している。また、今期から取り入れた「Interlining Pocket」のディテールは、着物の袖下に物を入れるという日本人の隙間を活用する美学から生まれた。
また、今シーズンは、80~90年代のGIORGIO ARMANIのスーツを収集し分析を行なっている。ARMANIの代表的なスーツ地である強撚のウールサージの綾目が、着物の縮緬のように見えたことから、平織のトロピカルウールを整理前に洗い加工をかけ織り目をクラッシュさせることで表現した「WRINKLE WOOL」や、和紙レーヨンコットンの糸で天竺の編み目をクラッシュさせたニットなどを展開。これら全ての皺感は、”MADE IN ITALY “を真似しようとした結果、ガラパゴスにより違った方向に行ってしまったというストーリー性を孕んでいる。グレーの色味は廃業した尾州の機屋に残っていた 80 年代のスワッチからカラーハントした所謂ドブネズミスーツ色を再現し、シャツ地には 、80 年代のヴィンテージの綿ローンや縞ブロードを採用している。デニムのDRAPE POCKETシリーズには、ポケットにゆとりを入れてバッドテイストにすることで、生地で落ち感を表現するといった王道をパターン操作で出すという、いかにも日本人らしい慣習が表現されている。